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☆じゃがべぇ~(^_-)-☆

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《7》アリバイ表の読み方

《7》アリバイ表(348ページ~351ページ)を、全ての地の文と矛盾なく読む文法

 まずアリバイ表の文法の説明をするにあたって表内の記述に名称を付けます。

 ・『枠』→容疑者が何をしていたかの説明文を記した四角い枠。
 
 ・『。文』→『枠』内の説明文の中の『。』句点で区切られた一つの文章。
 
 ・『『』文』→『枠』内の説明文の中の『『』』付きの文章。

 ・『欄外時刻』→アリバイ表の上部の欄外に書いてある日付と時刻。
 
 ・『時刻線』→『欄外時刻』から直下におりてる時刻を表わす細いライン。
 
 ・『移動線』→各容疑者の『枠』と『枠』を横方向に結ぶグレーの太いライン。


 ◎1、『枠』の時刻は厳密ではない。

 『枠』の時刻はその大まかな時間帯を示してるだけであって厳密な時間ではありません。
 
 『枠』を構成してる右側の縦線はほとんどの場合『時刻線』と重なってます。
 
 これが正確だとしたら『枠』内の説明は、ほとんどが0分ジャストか30分ジャストに始まることになっってしまいます。
 
 351pの浦永、榎田、辰平の3人の『欄外時刻』6:30からの『枠』の説明文には「6:20~6:50」と明示されてます。
 
 つまり、6:30の時刻線から始まる『枠』なのに6:20からと指定されてるわけです。
 
 時刻を正確に示したいときには『枠』内に記してあるってことが分かります。
 
 350pの岸、浦永、榎田、辰平の22:00の『時刻線』のすぐ右の『枠』の最後の『。文』は「22時00分解散。」となってます。
 
 これなどは22:00の『時刻線』に『枠』が重なってるのだから「22時00分解散。」なんて説明文に時刻は必要ないはずなのに書いてあります。
 
 つまり説明文に時刻指定がない場合はほぼの時間帯しか表わしてないってことになるわけです。


◎2、『枠』と『。文』の意味の違いを理解する。
 
 350pの榎田と辰平の二人の16:00の『時刻線』から始まる『枠』には
 
 「21日の撮影準備のため、機材チェック。」という一つの『。文』だけが、一つの『枠』の中に書かれてます。
 
 ところがその左の『枠』の中には
 
 「2人で夕食。」と「食事の流れで、そのまま一緒にはなしこんでいた。」という二つの『。文』が一つの『枠』の中に書かれてます。
 
 同じ榎田と辰平の二人の『枠』の連続なんだから、上の三つの『。文』を二つの『枠』に分けないで一つの『枠』の中に書いても良いように思われるでしょう?
 
 でも、実際には二つの『枠』になってるのには意味があります。
 
 『枠』と『枠』の間には『移動線』が入ってます。
 
 つまり『枠』をまとめるかまとめないかは、この『移動線』があるかないかの違いになって、これは大きな違いなんです。
 
 この『移動線』の部分では榎田と辰平のお互いがアリバイを証明出来ない時間が存在するってことなんです。
 
 つまり「機材チェック。」から「2人で夕食。」のあいだにアリバイの無い時間帯が存在してる事を、この表は表わしてます。
 
 この時間帯というのがバンダルの死亡推定時刻内であるから榎田も辰平もバンダル殺害に関してアリバイは無いということになります。
 
 作者にその意図がないのであれば『枠』を一つにしてたと思います。

 『枠』と『。文』の関係を350pの岸、浦永、榎田、辰平の『時刻線』18:00以降の2つの『枠』と5つの『。文』について見てほしいです。
 
 まず『時刻線』19:00からの『枠』の中には4つの『。文』が書かれてます。
 
 で、その一つ手前の18:00からの『枠』には
 
 「機材搬入開始、カルナック神殿へ出発。」という一つの『。文』だけが書かれてます。
 
 この5つの『。文』を一つの『枠』にまとめないで、1つの『。文』の『枠』と、4つの『。文』の『枠』に分けることになってるのは、2つの『枠』のあいだに『移動線』を入れるためなのです。
 
 その『移動線』の入ってるのが『時刻線』19:00の部分です。
 
 この3月20日の19:00、つまり夜7時というのは271ページに書いてある昇平のマンションで辰平と麻子が会ってる時刻です。
 
 この事実があるのだから『枠』を19時のところで2つに分けて、そこにこの『移動線』を入れる事が必要でした。
 
 アリバイ表では19:00ジャストにはカルナック神殿には到着してるように見えるけど、「◎1」でこのアリバイ表の時刻が厳密でないことは述べました。
 
 だから、この表と本文の事実から何が起こったのかを類推すると
 
 岸、浦永、榎田、辰平の4人が18:00頃にカルナック神殿へ向かってルクソール西岸のレンタルマンションを出発したのは確かだけど、辰平は途中で分かれてマンションに引き返したと考えられます。
 
 そして19:00に昇平の部屋へ入り麻子と待ち合わせ昇平と電話で話をして、その後マンションから自力(タクシーか、何か)でカルナック神殿に向かったのでしょう。


◎3、『枠』を連結するためと思われる波線とそのあいだに何故か存在する『移動線』の意味を考える。
 
 350pの栗山、園咲、麻子の一番左の『枠』に
 
 「考古学会に出席した他の発掘調査隊と食事~飲み会。3人とも一緒だった。」とあります。
 
 で351pの栗山、園咲、麻子の一番右の『枠』に
 
 「飲み会が終って東和セカンドハウスに戻ったのは深夜1時。」とあります。
 
 で上の2つの『枠』は見開きの左右のページにまたがってるために2つに分かれてるだけであって、本来なら連続した1つの『枠』である事を表わすために、その2つの『枠』の向かい合ってるところを合体を意味する波線で表現してます。
 
 ところが、もしそれだけの意味だったらこの波線のあいだに『移動線』は必要ないはずです。
 
 この波線と波線の間に栗山、園咲、麻子の3人分、ちゃんと3本の『移動線』が入ってます。
 
 『移動線』があるいじょう、この『枠』の中には、3人それぞれに席を外したことがあるって考えるしかないです。
 
 しかも、その席を外した時刻が3人まちまちであることを表現するための波線だとも考えられるでしょう。
 
 で、麻子は19:00頃に席を外して昇平のマンションに行ってるのです。
 
 現実に行ってるわけなんですけど、この食時会の場所がどこであるかは、この本のどこにも書いてないんです。
 
 だからこの食事会をおこなれたレストランは昇平の部屋のあるルクソール西岸のレンタルマンションの中にあったのかも知れないですね。
 
 このマンションは下駄履きマンションで上層階はマンションで下層階にレストランなどが入ってたのかも知れないです。
 
 辰平に呼び出された麻子は、階上にあがって昇平の部屋に行き、また食事会に戻れば手洗い程度の席外しですみます。


◎4、まとめ
 
 『。文』の『枠』の中には完全なアリバイが有り、『『』文』と『移動線』にはアリバイが無いということです。
 
 ただし時刻指定の無い『枠』の開始時刻と終了時刻は定かでは無いので、アリバイ表から完全にアリバイを認定出来る部分はかなり限られてしまうという事がいえます。

(2009年3月2日更新)


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